三百十一話 有給休暇消化率
3日に改正労基法案が国会に提出されました。中小企業にも大きく影響するものがいくつかありますが、その一つに「年休の5日取得義務(来年4月1日施行)」があります。有給休暇はあるものの中々消化されない(民間企業取得率48.8%厚労省14年)ためのようですが、裁量労働制の拡大などの法案とのカウンターの意味合いもあるのでしょう。
よく比較される例に、欧州などの有休取得率があり、「日本は働きすぎ」などと、いわれたりします。しかし、そもそも欧州などとは有休というものの概念がかなり違うようです。
愛知県のパリ産業情報センターがフランスの有休についてレポートしていて、そこから代表的なポイントを3つ押さえることができます。まずはじめに、フランスは法定の支給日数が30日で100%消化されているのですが、有休の取得は会社が日程を決めて与えるものとのことです。つまり、有休は労働者の権利というより、雇用者の管理義務の面が強く、したがって病欠に当てることは原則禁止されています。次に、2週間はまとめて取らないとならないなどの規定があり、これはバカンスの慣習から来ている様で欧州全般に見られるみたいです。すなわち、フランスをはじめとする欧州では有休は時間ボーナスの色彩が濃いというわけです。最後に、昨年フランスで画期的な制度が成立しました。同僚から有休の寄付を可能とする法制です。有休を他の人に分け与えることができるわけです。お金で買ったり、別の何かとバーターがあるかもしれません。日本では考えにくいですがまさに、時間ボーナスで、日本とは「公平」の考え方が違うと思ってしまいます。
このように見て行くと、有給休暇と名がつくものの、日本のそれとは異質なものと言えそうです。到底、比較の対象にできるとは思われません。中小の現場からすると、どうも、この制度は場当たり的につくられ過ぎている感が拭えませんね。
ニューヨーク近代美術館でも扱われている、世界的に有名な大阪の鉛筆削りメーカー中島重久堂から新開発のつなぐ鉛筆削り「TSUNAGO」が送られてきました。1年くらい前に、ミュージックセキュリティズが扱う開発ファンドに出資していたのが、ようやく製品化されました。写真のように凸と凹で短くなった鉛筆をつなぎ合わせる道具で、コンセプトは「もったいない、モノを大事にしよう」ということのようです。中島重久堂の鉛筆削りは、小学生の頃に使っていたそれからすると鉛筆削りの概念がひっくり返ってしまうような、サクサク切れるのが快感ですが、今回の「TSUNAGO」はその真骨頂といえる仕上がりです。そういえば、小学生の頃、よく鉛筆をナイフで削ってサイコロを作ったりしていました。「もったいない」というより、ああいうプリミティブなつくる愉しみを思い出させてくれる逸品です。
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