三百九話 レゴの経営危機と復活
ブロック玩具のレゴはデンマークで1932年に創業した老舗の非上場会社です。ブロック玩具に特化し、飛び抜けた高い収益力(売上高4310億円、営業利益1410億円、自己資本利益率58.4%グーグルで18%程度)を誇ります。デンマークの片田舎の小さなオモチャメーカーが、80年以上も継続し、しかもグロバール化に成功、まだ成長し続けるという不思議な会社です。さらに、率いるのは若い雇われCEOで財務出身というオマケつきです。
実はこのレゴ社も2003年頃に倒産しかかりましたが、それを劇的に立ち直らせたのが当時35歳でCEOに抜擢されたクヌッドストーブ現CEOです。レゴは90年頃から、類似製品の台頭とデジタル化の波に押され、業績が毎年下がる経営危機に陥ります。当時、創業家が難局打開のために招いたCEOが、再建請負人と称された著名な人物でした。新CEOのもとで多角化に向けて7つの改革が実行され、一度は最高益を叩き出すも急降下し、倒産の危機に会います。原因は7つの改革全部を一度に行ったことと管理がずさんだったことのようですが、交代したクヌッドストーブは今、何をすべきかと長期に何を構築すべきかを分けて、再建を見事に果たしました。財務出身で常に冷静でカリスマ型でない、この若いCEOも凄いですが、役員たちの反対を押し切って抜擢し、前回の失敗を取り戻した創業家もたいしたものです。レゴの危機と成功のストーリーは、商品・サービスの陳腐化、IT化・ネット化の波など、同様の状況にある中小企業も多いと思われ、参考にできそうなことがいっぱいです。
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