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2015年11月

2015年11月29日 (日)

二百四十二話 非正規社員の活用

 厚生労働省の調査によると、非正規社員の割合はおよそ40%に上がっています。そのうち、不本意な非正規の人の割合は昨年で18%、なかでも働き盛りの25~34歳が28%と高くなっています。政府は正社員化を進めていて、転換制度に助成金などを拡充していますが、企業としては足元は忙しくとも見通しの悪い中で慎重にならざる得なく、非正規社員の割合は上がっているのが実情のようです。「短時間正社員」などの受け皿の多様化も広まっていますが、非正規からそのままのスライドでは旨みがありません。ユニクロが週休3日制の導入で人の確保と残業削減の両立をはかったように、工夫が必要というところです。
 北欧家具のイケアは約7割がパート社員ですが、精細な職務遂行能力チェック表を作成し、スキルアップと短時間正社員化のセットで、定着と生産性の向上につなげる策を進めています。但し、このようなことは他の会社も考えるのですが、思ったようにいかないのは、転換制度とチェック表をつくっただけで終わってしまうからです。イケアは職場の上司が1対1で面談を実施し、一人につき3回、3~4時間割いて、課題や伸ばして欲しいスキル、目標を話し合っています。パート社員が約2000人ですから、膨大な労力をかけているといえます。単に制度だけでは、やはりレベルアップなどしないのです。イケアが本腰なのは、人不足の対応もあるでしょうが、たぶん事業展開の目論見もあるのでしょう。ネット通販への本格参入などが有力なようです。

写真は阪急梅田のクリスマスツリーですが、集客の目玉となっています。経済が成熟し、モノは溢れ、モノを売るのに、先に体験や感動、時間を売らなくてはならなくなりました。デパートもブランド力がPhotoあるうちにまず集客というわけです。それにしても、人が多いですね。こちらもその一人で、しかも家内にくっついてブラブラだけなのですが。

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2015年11月23日 (月)

二百四十一話 人不足余波

 大阪労働局の9月末時点の調査では、「正社員が不足、やや不足」という回答の企業が53.5%と調査以来初めて半数超えとなっています。ただし、リクルートなどの求人倍率調査を見ると、業種によるかなりの偏りが見られ、IT、建設、輸送が不足の筆頭と言えそうです。その中の一つ、輸送のトラック運転手の不足も深刻で、その上に長時間労働などの安全面から法令順守の厳格化が拍車をかけています。
 このトラック運転手不足の余波が思わぬところへ飛んでいます。フェリー各社がこぞって新造船やリメイクなどの投資に踏み切っていることです。リーマン後の不況と高速道路の割引制度で大打撃を受け、低迷していたフェリー業界ですが、ここへ来て、風が吹けばなんとかの思わぬ追い風です。日経によると商船三井が200億円、名門大洋フェリーが130億円、オーシャントランスが200億円などと大型投資です。造船業界も裾野が広いので景気にはかなりのプラスでしょう。トラック運転手の不足でフェリー需要が伸びるのは、長距離を陸路で走ったら、長時間労働となり、連続運行が法律に触れるからですが、フェリーに載せれば、その間は休憩が取れます。世の中、なにが好機となるかわからないものです。耐えて待つのも戦略というところでしょうか。

それほどコーヒー好きではないのですが、仕事の関係で話題のカフェがあれば覗くようになりました。先日は娘と三1宮の星野珈琲へ。星野珈琲はドトールが仕掛ける郊外型カフェで、長時間滞在型のス2タバやコメダ珈琲などの対抗馬です。ブレンドが400円ですし、皆さん名物の分厚いパンケーキを頼んだりしますから、回転は悪いですが客単価はドトールよりもかなり高めです。行った日は休日もあって満席で並んでいました。ウェイトレスが一人しかいなくて、走り回っていましたが、外食業の休日のスタッフ集めは何処も大変なようですね。

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2015年11月15日 (日)

二百四十話 プレゼンの技術

 書店に行くと、プレゼンテーションのノウハウ書は沢山並んでいます。内容は少しずつ違っていますが、共通していることが幾つかあります。ここではポイントを三つとりあげます。
 一つは、どの本も次のような前提で書かれていることです。そもそもプレゼンというのは、相手に伝えることですから、広く解釈すると、人と接するビジネスの場面すべてがプレゼンというわけです。営業における商品・サービスの説明は勿論、社内コンペ、社内説明、会議ミーティング、店頭販売、他部署との折衝、名刺交換等々。しかるに、プレゼンを制する者がビジネスを制するとなり、プレゼン力は大事というわけです。
 次に技術的なことで共通するのは、「プレゼンは双方向」ということです。一方的に喋るのではなく、相手の反応を見て話せとなります。確かに、プレゼンが苦手、上手くないという人はこれが出来ていないといえるでしょう。相手が理解していようがなかろうが、おかまいなしに自分のペースで話してしまいます。専門用語、難しい言葉を並べても、説得力は増さないのです。自身もセミナー等で上手く喋れていないときはこの状態に陥っています。また、誰に対しても同じ説明をしがちです。プレゼンは聞く人に合わさすことが必要です。カタログは誰に対しても平等に説明していますが、プレゼンは「あなただけ」なのです。
 最後にほとんどのプレゼンの本の締めくくりが次の内容になっています。「いくら上手く朗々とスキなく喋っても、最後は人柄。信頼がおけるか、この人となら一緒に仕事をしても良いかどうかだ。」と。 つまり、「プレゼン力はとどのつまりは人間力」という結論です。人間力をつける、人事の目的と共通しそうです。

東進ハイスクールの林修先生が、「名人枝雀亡き後の名人はこの人」と言った、桂雀三郎さんの毎年恒例の独1511演会が28日にサンケイプリーゼであります。益々磨きがかかる雀さん、今年の演目は凄そうで、愉しみです。席はまだ間に合いそうですよ。


お蔭様で拙著「人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」(明日香出版社)が4回目の増刷となります。出版社の話では地道にポツリポツリPhotoですがコンスタントに売れているとか。有難いですね。

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2015年11月 8日 (日)

二百三十九話 コト消費コト営業

 ときどき早朝にJR大阪駅ルクアにある蔦屋書店で仕事をします。朝7時から開いていて、スタバもあり、はかどります。そんな早くから、わたし以外にも利用者が結構いて、打ち合わせや会議にも使っていたりします。ここは書店というより、本も読め、カフェもついているPhoto_4居心地の良い貸しスペースのようなところといえます。本やコーヒーを売るというより、空間を売っているイメージです。空間を売るといえば、もともとスタバのコンセプトですが、書店と組み合わせることで新たな空間を提案したといえるでしょう。やはり、目をつけた蔦屋はただものではありません。
 経済が成熟して、モノが溢れ、しかもいつでも手に入ります。モノをつくり、売る方は別に無くても困らないものを今、買って貰いたいわけですから、差別化しないとなりません。でもモノ自身に大差がないとすれば、なにか付加価値をつけないとならないのです。その一つが、「モノからコトへ」というわけです。コトというのは、時間、空間、体験、ストーリーなどのことです。クボタが農業体験でトラクターの販促をしたり、イオンがミカンや梨狩りで果物の販売に結びつけたりと、コト営業は広まりつつあります。モノはいつでも手に入れることができても、イベントはその場限りです。お客はそこの惹かれます。このことは、BtoCのみならず、BtoBにもいえるはずです。どこで仕入れても同じなら、「『あなたから買いたい』と言わせるには」と考えるわけです。「今だけ、此処だけ、あなただけ」が鍵となります。

蔦屋書店の書棚の分類は独得で、一般の書店に慣れているとわかりづらいのですが、ビジネス書のリーダー関連はPhoto4面の棚でコーナーがつくられていて充実しています。嬉しいことに、わたしの新刊も現在、平置されています。有り難いですね。

仕事のついでに、渋谷にオープンした「ボッシュカフェ」へ。ボッシュとは、あの自動車部品のドイツのメーカーです。それがなぜ、「日本でカフェを?」ですが、世界的なメーカーなのに日Photo_3本では知名度がいまPhoto一つとのことPhoto_2からみたいです。これもコト営業の一つといえます。昼に昼食兼ねて行ったのですが、新聞にも出ていたので混んでいると思ったら、意外に空いていました。ドイツ風のサンドイッチもボッシュのアピールの仕方も、どうも中途半端で今一です。ドイツの大企業、このところちょっと評判芳しくないですね。
 

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2015年11月 1日 (日)

二百三十八話 米国の賃上げ気運

 全米自動車労組と旧クライスラーが合意し、10年ぶりとなる賃上げが決定しました。これにより、より利益水準の高いフォード、GMも追随するとみられます。また、影響力の大きい自動車業界の決定により、幅広い業種で賃上げが広まると予想されます。
 07年の米国大手3社の経営危機時に旧クライスラー工場労働者の賃金(時給制)は、それ以降入社の若手工員は19.28ドルが天井となりました。それ以前の熟練工は平均約29ドルですので格差は10ドル近くと大きく、根強い不満となっていました。今回の決定で、熟練工は今年3%、来年3%昇給し、時給は30ドル強なります。一方、若手の時給は25.35ドルまで昇給、賃上率31%と大幅なアップとなり、格差はかなり縮まります。
 このような合意に至ったのは、米国自動車メーカーが業績好調で完全復活した証ですが、シェール革命によるガソリン安が大きいと思われます。当然に北米生産する日本の自動車メーカーも好調ですが、日本のメーカーは全米自動車労組に加入していませんので、今回の決定は直接には影響しません。但し、日本メーカーが多い南部も時給は15ドルくらい(ちなみに国内のトヨタの期間工で時給1200円くらい)といわれていますので、より大きくなる格差に対して是正せざる得ないでしょう。また、全米自動車労組への加入圧力に抵抗する意味でも動くことになりそうです。それでも、日本メーカーにとってはコスト競争力でより優位にあるといえます。日本の自動車業界にとっては北米がまだもう少しの間はドル箱となりそうです。
 
前回紹介した、大阪マラソンに11名も参加された㈱アシストさんが、全員無事に完走されました。おめでとうございます。快挙ですね。コースを見ると、最後にゴールの南港に入る前に最大の難所のあの港大橋があります。クルマでもしんどい坂ですが、よく越えたものです。心配していた今年入社の2名もよく頑張りました。この勢いで業績も目標達成は確実でしょう。
 

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