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2016年1月24日 (日)

二百五十話 同一労働同一賃金①

 安倍首相が同一労働同一賃金の実現の方針を掲げたためもあって、にわかに賃金政策に関連する論調が増えてきました。正社員と非正規との格差の是正がその主眼です。でも、どう具体的に実現しようというのかは全くわかっていません。そもそも、われわれ専門家からすれば非常に複雑なメカニズムが働く問題で、方向を間違うととんでもないことが起こりかねないのです。日本の国力にかかわるテーマに触れる問題であり、熟慮と社会的コンセンサスを必要とし、時間を掛けなければいけない難題なのです。
 同一賃金というのは、解釈がほぼ定まっています。つまり、時間当たり賃金のことで、同じような労働をしていても、正規と非正規で時間当たり賃金には大きな差があるという訳です。その通りですが、問題は「同じような労働」つまり「同一労働」をどうとらえるかです。民主党や連合、経団連は「同一価値賃金」といっていますが、それぞれ思惑があって中身が異なります。
 連合、経団連が土俵にしている、日本の主流の賃金は職能給の考え方です。あえていえば、日本社会は職能給型社会です。労働市場は職能給の考え方をベースとしています。それに対して、日本以外の国はほぼ職務給型社会です。日本にも職務給型の労働市場はあります。医療や派遣業界がそうですが、主流ではありません。職能給と職務給の違いは、職能給は人に値段をつけますが、職務給は仕事に値段がついているのです。この違いはとても大きいのです。しかも、日本人にはこの「仕事に値段がついている」感覚がピンときません。
 同一労働同一賃金の究極は同一職務同一賃金です。仕事に対して公平な賃金です。でも、そのような社会を連合も経団連も望んではいないはずです。なぜなら、正社員の賃金を守れないからですし、経団連の主流である製造業に向いていないからです。
 もし日本が諸外国のように職務給型社会になるとどうなるかですが、一番の問題は雇用が流動化することです。その証拠に職務給型の医療や派遣業界は雇用が流動化しています。雇用の流動化は、ある程度必要で産業構造が変わるときには特にそうなのですが、副作用も大きいのです。医療や派遣業界のように社会全体で雇用が急速に流動化すれば、下請け型の中小製造業はほとんど潰れてしまうでしょう。ですから、賃金の問題は慎重に選択しないとならないのです。 このような複雑なメカニズムは専門家でないとわかりません。専門家がリードすべき問題で、もっとしっかりと主張すべきです。

列島がすっかり冷凍庫になってしまいました。ベランダにあるメダカの鉢を見ると、この冬はじめて凍っています。お蔭で外へ出ることなく、仕事が捗っています。冬は寒い方が景気には良いのでしょうが、交通機関が混Photo乱するのが困りものです。とくにJRはえらいことになります。月曜の朝にダイヤが出鱈目になると、疲れが倍増ですね.。

関与先の高石工業さんが1月13日(水)日経新聞夕刊(関西版)11面に「水素ステーション 関西の技で」という記事で、水素ステーションの開発に携わる関西の4社の一つとして載っていました。ゴムパッキンの老舗優良企業ですが、水素が漏れず、劣化せずの技術が評価されたとのことです。凄いですね。

 


 

 

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