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2016年3月20日 (日)

二百五十八話 賃上げ情勢①

 大手企業が中心の春闘ですが、中小企業にとっても無縁ではありません。やはり、賃金の相場が引っ張られます。それは他に情報がないという、現在の日本の特殊な状況のせいでもありますが、無関心でいるわけにはいきません。とくに新卒初任給相場は影響を直接受け、おおよそ一年くらい遅れてやってくると考えておくべきです。
 現在までのところ新聞等によれば、ベアは昨年の6掛け程度の推移を示しています。厚労省の主要企業の数値で昨年が2.38%7367円、参考となる定昇1.62%5038円をつかうと、しめてみないとわかりませんが、6掛けで行けば今年は2.0~2.1%程度になると予測されます。
 安倍政権の音頭取りにもかかわらず昨年からの失速は、調査データでは「景気の先行きが不透明」という理由が大半ですが、牽引役のトヨタのベア減額も効いています。トヨタのの昨年ベアは6000円の組合要求で4000円の妥結でしたが、今年は組合要求が昨年の半額の3000円にもかかわらず、妥結額1500円となりました。
 理由はいろいろと言われていますが、一番はやはりグループ間の格差と思われます。グループのダイハツで昨年1600円妥結が今年はトヨタと同じ1500円です。デンソーなど主要部品メーカーの回答も1500円でトヨタに横並びとなりました。昨年においてもトヨタが引っ張って、それなりに各社がついてくる算段でしたが、実際は予想に反してついてこれなかったわけです。組合もグループ内で足並みが乱れるのは望むところではありませんでしょうから、連結純利益で過去最高となるにもかかわらず、昨年の4割以下の妥結となったと思われます。そのかわり、賞与は満額回答、在宅勤務制度などの拡充となりました。
 中小企業の賃上げはこれからですが、これらがどう影響するかです。もう少し動向を見ておく必要があります。

友人の仏教研究家の誘いで、13日に東大寺二月堂の「お水取り(修二会)」に。奈良大講師をされている書道家・陶Photo芸家の田上さんの案内で、階上からの見学。お松明は下から見るものと思っていましたので、二人とも興味津々。お坊さんたちの掛け声やら木下駄の音も聞こえ、松明の熱風も直に感じられて、なかなかの体験でした。関西ではお水取りが終わると本格的に春が来て暖かくなるというのですが、まさしくその通りに。次はいよいよ桜で今年も順番通りです。

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