二百五十七話 同一労働同一賃金⑤
非正規と正社員の格差の問題ではじまった「同一労働同一賃金」ですが、ポイントは繰り返しいうと、「同一労働」かどうかを区別する「ものさし」になにを加えるかということに尽きます。
「仕事の難易度」や「責任の範囲・重さ」は誰もが理解するでしょう。「勤続」についても労働側も会社も入れることにおそらく反対はしないでしょう。「性別」「学歴」「国籍」は入れないことに異論は出ないでしょう。でも、「年齢」や「家族構成」などは意見の分かれるやっかいな問題です。
「同一労働同一賃金」をつき詰めていくと、「仕事に直接関係しないものでは賃金に差をつけない」という話にならざるを得ないのですが、それは非正規と正社員の格差の問題にとどまらず、かならず正社員自体の賃金のあり方を問うことになるのです。けれども、それは社会自体にも覚悟が必要な大きなテーマですし、そこへは労働組合も踏み込みたくないはずです。したがって、「同一労働同一賃金」の議論が進むことは野党にとって、けっして好ましいとは言えないテーマということです。
安倍政権は「格差の是正」という大義をかざしつつ、「インフレサイクルの後押し」とともに選挙をにらんで、敢えて取り上げたと思われます。「同一労働同一賃金」の議論は野党によって腰砕けになるに違いありません。
前回紹介した、ゴディバジャパンの社長ジェローム・シュシャンさんの「ターゲット」出版記念講演のあと、会食にご一緒させて頂き、実に興味深いお話を伺うことが出来ました。「正射必中、当
たるのではなく当たる」にはじまりましたが、なかでも「コンフォートゾーンの罠」「憧れと身近の両立」「欧米にはない『縁』という概念」などは、とても参考さんとなりました。ご興味のある方はぜひお読みください。わかりやすい文章で損はない内容かと思います。
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