二百六十一話 中小企業の賃上げ実態
主要製造業の金属労協(組合数3000以上)のうち、300人未満の労組でベア1281円、そのうちものづくり産業労組がベア1427円と、最高益を出したトヨタのベア1400円を上回りました。今年はまとまりに危機感をもった組合の意向を酌んだ格差是正春闘となりました。
では、中小企業がそれなりに業績が良いかと言えば、そうでもないというのが実際でしょう。大阪シティ信用金庫が発表した、府下の20名以下の企業が8割を占める賃上げ調査を見ると、賃上げした企業の賃上げ率は2.61%と悪くない様に見えますが、賃上げできた企業は23.7%の4社に1社以下でした。これは昨年の25.4%より下回っていて、この3年間で最も低くなっています。なかでも、運輸が14.1%、小売18.0%、サービス21.4%と低く、やはり消費が良くないことが推測できます。
この20名以下の企業の数字が上がらないと景気は良くならず、政府が目指すインフレサイクル実現は無理でしょう。業績の良い大手が引っ張り、すそ野へ拡がって行く図式は当てはまらなくなりました。拡がって行く間に情勢が変化してしまうのと大手ばかりが人材を吸い上げてしまい、中小は人材難で業績をあげるどころではないからです。数字は上がらず、人は足らずの二重苦に喘ぐばかりです。
自社の業績を景気のせいにできないとはいうものの、こう中小企業に向かい風の政策ばかりではたまりません、なにか、中小への特効薬か、消費への起爆剤が待たれるところです。
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