二百七十三話 パート社員の賃上げ
今春闘は「格差是正」で労使が歩み寄った春闘でした。労組もバラバラになる懸念から、経営もこれ以上の正社員の上昇は競争力に影響する懸念から、思惑が重なった結果と言えるものでした。大手と中小、正規と非正規の格差が是正されました。
日経によると、小売、外食など流通業中心の労組UAゼンセンは90万人弱がパート社員ですが、6月の中間集計でパート社員の賃上げ率が2.20%で、初めて正社員(2.02%)を上回りました。これも格差是正のながれですが、深刻な人手不足が最大の要因です。
とはいっても、春闘は労組を持つ企業の話で、持たない多くの中小企業にとってはそれほど関係のない話題でした。これまではそうだったのですが、パート社員がこれだけ上がってくると話は違ってきます。パート社員は地域密着型で流動化した雇用です。自社の地域の大手スーパーが雇用を増やせば、たちまちパ^ート社員が来なくなり、大手スーパーが賃上げすれば、地域の相場はハネ上がるのです。わが社には関係ないと言ってられなくなりました。
パート社員の賃上げが消費につながれば良いのですが、中小企業はそれまで待てないところも出て来ています。来年はそのしわ寄せが、正社員の賃上げに向かい、厳しくなりそうです。
| 固定リンク | 0
コメント