二百七十五話 大手の差別化
中小企業の賃金は大手の6割以上にせまり、格差縮小は21年振り水準といわれています。けれども、すべての中小が賃金を上げられるわけではないでしょう。つまり、数字の平均値はともかく、賃上げ等のままならない会社とできる会社の差は増々大きくなると思われます。
たとえば、保育の業界なら、大手のポピンズは正社員の給与を15%上げています。JPホールディングは非正規も含めて昨年が8%、今年も4%上げています。このような水準に中小の保育事業者はついていけません。
また、半導体のカッターで有名なディスコなどは、残業が短い方が割り増しを高くしました。月45時間までなら従来の25%から35%アップに、45時間~60時間までは30%としています(60時間超は法定の50%)。長時間労働への対応策の一環なのですが、このようなことは、とうてい中小製造業にはできません。
もちろん、これらは人不足への対策であり、差別化で淘汰し、人材を囲い込もうという戦略の一つといえます。ついていけないところは、人材が集まらず、おかげで業績が伸びず、賃上げもできないという悪いスパイラルの懸念が本当になってきました。
でも賃金だけが、採用定着のカギではありません。賃上げが無理なら、なにか違うもので差別化をはかり、対抗しないとなりません。大手にできないのは、社員一人ひとりの個別の事情への配慮です。これからは大手にはない、中小の良さをアピールしないとならないでしょう。
英国のEU離脱、任天堂の株価急上昇と、なにが起こるかわからないことが続いています。次に来るのは、トランプ米国大統領でしょうか。もう一つ期待したいのは、ソニーが10月に出すプレステ4で、バーチャルリアリティの目玉となる商品です。ポケモンGO!のような旋風が巻き起これば面白いのですが。
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