二百七十九話 働き方改革 その②
安倍首相は自身が議長となる「働き方改革実現会議」を今月にも設置する意向です。まずは、長時間労働規制と同一労働同一賃金の具体案から着手すると思われます。実質、青天井の36協定に枠をはめ、非正規社員の賃金底上げなど、労働側にプラスのことばかりとなるでしょう。まずは、「働き方改革実現会議」の実績づくりをすると思われます。
これまでの慣習では、このような政策決定は厚労省に設置され、厚労省と労使で行う「労働政策審議会(労政審)がすべてでした。今回、これを官邸主導にし、労政審をなし崩しにする意向と思われますが、その意義は大きいといえます。
日本は正社員と非正規との格差はありますが、正社員は現場職から企画職まで労働の扱いがフラット過ぎるといえます。海外企業の頭脳型職種は時間に管理されない成果型が見られ、集中してモーレツに働きます。日本企業の競争力を高めるには、もう少し時間管理型から成果管理型にすべきでしょう。と、いう話になると、かつて頓挫した、政権にとって忌まわしいホワイトカラー・エグゼンプションが出て来ざるを得ません。安倍首相は今度こそはと考えていることでしょう。「働き方改革実現会議」の最終のねらいはそこにあると思われます。
どのようなかたちになるにせよ、仮にホワイトカラー・エグゼンプションの類が進むとしても、中小企業には直接の影響は少ないでしょう。該当者のバーを低く見たとして、管理職でない年収700万以上の社員などほとんどいないからです。
けれども、このことで中小企業が留意すべきは、管理職の線引きです。名ばかりか、残業代除外の管理職かどうかが、うるさくなるでしょう。
そのような観点から、「働き方改革実現会議」の動向を注視すべきと思われます。
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