二百八十六話 ハイブリッド型退職金
年内にも新しい企業年金が発表されそうです(政府のリードで今回はいつになく対応が早い)。新しい企業年金は、確定給付型と確定拠出型(日本版401K)の中間に位置する仕組みです。確定給付は会社が将来の積立不足リスクを負い、確定拠出は社員が負いますが、新制度は将来リスクを会社と社員で分担しようというもので、いわばハイブリッド型というわけです。
リスク分担というのは、積立不足や過剰に対して、あらかじめ労使でその処理方法を決めておくものです。会社が払う通常の掛金は定額ですが、リスク対応掛金を別途設ける会社負担分と、財政状況に応じてあらかじめ決められた算定方法で受け取る給付額を変動させる社員負担分とでリスク分担することになります。
確かに、確定給付と確定拠出の双方のデメリットを補っており、確定給付の増大する掛け金の積み増しは緩和されますし、確定拠出の社員へリスクの押しつけ感や投資教育の必要性はありません。その点では理想的と言えそうですが、但し、制度が複雑で労使で決めるのに難があるのと財政検証が複雑で銀行や保険会社などの幹事会社への管理手数料がかなり掛ると思われる点で導入は一部の企業に限られるでしょう。ましてや、このままでは中小企業への導入は難しいと思われます。簡易版でも出ない限り、当面は検討の対象外でしょうか。
わたしどもの会でも講演を頂いた、平尾誠二さんが20日に逝去されました。初めてお会いしたときの印象はいまだに強烈に脳裏に焼き付いています。絵に描いたような美男子で、想像以上に身体が兎に角大きく、まさに
圧倒されるオーラが立っていました。平尾さんは著書も多く出されていて、その組織論は大いに参考となりました。ラグビーの15人のチームにもその社会における人の関係のあり方が投影されているという一文からは大いにマネジメントへの示唆をもらいました。それにしても、53歳というのは早過ぎます。日本はラグビーがこれから盛り上がるというときに惜しい人材を失くしました。ご冥福を祈るばかりです。
自著「人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」の台湾語版が台湾の出版社から発売となりました。訳者は、ユニク
ロの柳井社長の本なども翻訳している方とかで、光栄ですね。中国語はさっぱりですが、漢字をみているだけでも面白い。たとえば、「計画是従最後完成的状態開始回推建立」は「計画は最後から立てる」、「了解団隊的戦力」は「チームの戦力を知る」みたいですね。ちょっとは台湾でもヒットしてくれれば嬉しいですが。
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