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2016年11月

2016年11月27日 (日)

二百九十一話 再雇用後の賃下げ②

 運送会社のトラック運転手3人が定年後に再雇用され、まったく同じ仕事を続けた場合に、賃下げは違法かどうかが争われた裁判で、一審の東京地裁は違法でしたが、東京高裁は判決を取り消し合法としました。運転手3人は上告の予定ですので、最高裁で結論が出ることとなります。
 今回の高裁の判断は「賃下げは公知の事実で社会的に容認され合理性がある」「人件費の無制限な増大を避け、労働者全体の安定雇用を実現する必要性を考慮すると一定の合理性がある」「年収は定年前の2割程度の減少で、同規模の減額率からすれば、減額率はかなり少ない」(参考:共同通信社)というようなことのようです。
 中小企業の実態からすると、多くの経営者にとってはかなり納得のいく判例でしょう。最高裁でどうなるかはわかりませんが、再雇用者の雇用・処遇形態の幅を拡げることができます。
 但し、「年収で定年前の2割程度の減少」からすると、それより下がるケースは「再雇用後もまったく同じ仕事」はやはり、できるだけ避けた方が良さそうです。責任の軽減や短時間勤務、休日の増加など検討すべきといえます。

年賀状の料金別納のわが社のオリジナル・マークを歴代、並べてみますとシンプルに図案化された干支の動物たちが中々ユニークです。来年は酉年でニワトリになりますが、どうもありきたりになりそうな予感。よって最初は鶴で試作してもらいましたが、やはりなにかしっくりきません。もう少し、試行錯誤が続きそうです。 200920142a2015a201320174

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2016年11月21日 (月)

二百九十話 賃上げ要請

 12月あたりから来年4月の賃上げに向けて労使交渉が始まります。政府も賃上げを経済界に要請し、多くのエコノミストも景気の循環をつくるために必要と説いています。まだまだこれからですが、今回の賃上げはおそらく為替の動向が大きく影響するのと、中小の景気次第と思われます。
 今のところ、春闘を事実上引っぱる大手製造業からすると、米国の景気高揚や利上期待で仮にこのまま円安に推移すれば、輸出メーカーの業績の見通しは良くなり、賃上げ気運は高まるでしょう。しかも、この3年で賃金は上がりましたが、円安効果で相対的に賃金の国際競争力がもどり、ベアの余地が出てきます。逆にトランプの経済政策の中身が空振りでまた円高に振れれば、日本の景気期待も萎んでしまいますし、賃金の国際競争力も低下します。もちろん、賃上げどころではなくなります。
 但し、仮に円安に振れたとしても、中小企業においてはベアの余力はあるように思われません。景気は低迷する中、コストアップの施策ばかりですから、無理と言わざるを得ません。大手の労働組合は表向きは月例給与のベア確保と言っていても、今年も昨年同様に中小の組合に配慮せざるを得ないはずです。そうしないと、組合内の格差がまた拡がってしまいます。それは最も避けたいはずです。
 そのように考えると、上がる方向に見ても、非正規社員の格差是は進むでしょうが、正社員の賃金カーブは上がる要素がほとんどなく、賃上を引張るのは、人手不足による初任給アップくらいです。この4年間では最も低い賃上げ相場になると思われます。

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2016年11月13日 (日)

二百八十九話 成果の見直し①

 人不足、長時間労働是正、最低賃金上げ、雇用形態の多様化と、企業に突きつけられたこれらの厄介な環境を乗り切る手立ては二つしかなさそうです。「付加価値の増大」と「生産性の向上」しかありません。企業はその二つで差別化をはかろうとしています。このながれを人事の面から見ると、評価は「利益重視」及び「生産性の向上」が軸となるといえます。自社の考課制度も見直さないとならなくなるでしょう。
 つまり、この二つの結果を測る指標とこの二つに繋がるプロセス、行動の評価にウェイトを置くことになります。「長時間、頑張った」よりも「短時間で成し遂げた」を評価しないとなりません。このことは、自社の「仕事の成果」を再定義することになるでしょう。
 マネジメントの面からいえば、より「仕事を任せる」ことが求められ、自律して仕事ができる人材の育成とメンバーに「仕事を任せる」ことができる管理監督者の養成が必要になるわけです。
 このように考えると、中小企業にとって課題は満載です。人事やマネジメントという、外からは見えにくい部分で会社の差がついて来そうです。そのなかで、わたしは班長、主任、係長などのリーダークラスの育成が鍵になると思っています。

お蔭様で、拙著「不安苦手ゼロ!人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」の4回目、13刷目になる増刷が決定しました。年末R年始に書店に並びそうです。イラストの頁が半分を占めるこの本は、文章以上にイラストの構想に執筆の時間を取られましたが、とっつきやすい、読みやすい、わかった気になると評判は上々なようです。われながら、苦労の甲斐があったというものです。

 

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2016年11月 6日 (日)

二百八十八話 人事制度のはじまり

 中小企業で、人を動かして課せられた仕事を遂行できる人材は貴重です。たいていは、自分だけで精一杯だったり、一人で仕事をしたい人だからです。
 会社はある程度仕事を覚えた人の中から、人を動かせるリーダークラスを任せられる素養のある人に目をつけます。ポイントとしているのは、「指示待ちではなく、自分から動いているか」や、「自分のことだけでなく、わずかでも周囲のことに気遣ったり、気配りできているか」などです。これらがリーダークラス候補の先行指標です。
 そう考えると、実務職クラスや新卒入社5年目くらいまでのクラスの考課表の項目には、そのような先行指標の項目を入れておき、早めに目をつけておきたいものです。なぜなら、「実務で結果を出している」人材を評価し、処遇することも大事ですが、たとえば不器用だったりで実務は今一つだけれども、先行指標項目の評価が高い人材は、できるだけ確保しておかないとならないからです。これからはとくにそういえます。
 その意味では、人事考課に工夫が必要なのですが、人事考課だけでは限界もあるでしょう。たとえば、実務職クラスに求められることの一番は、「日常業務の確実遂行」だとしたら、やはり「実務で結果を出している」人を高く評価しないとなりませんし、人事考課制度はそうあるべきです。したがって、このようなジレンマを解決するには人事考課だけでなく、抜擢や報奨なども活用する必要が出てくるわけです。しかも、トップの「思いつき」などではなく、オフィシャルな位置づけにしたいものです。なぜなら、そうでないと、残って欲しい人材が逆に辞めてしまったりすることになりかねないからです。すなわち、人事考課、昇給賞与、昇格、抜擢、報奨、教育・・・などの制度をそれぞれの機能に応じて、うまく構成することが必要というわけです。
 賃金や考課制度だけでなく、人の課題を解決し、人をより活かすために人事のツールを活用することこそが人事制度のはじまりといえます。

枚方に住む息子が駅に貼られたポスターの写真を送ってきました。左は間もなく公開の映画「海賊と呼ばれた男」のポスPhotoターですが、右はそれをパロディにした、主演の岡田准一が、実家が枚方なことから広報する「ひらかたパーク」のポスターです。いかにも大阪らしい企画です。評論家の平岡正明が河内音頭を例に挙げ、大阪の文化を「へりくだりの美学」といいましたが、まさにこれですね。

 

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