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2016年11月 6日 (日)

二百八十八話 人事制度のはじまり

 中小企業で、人を動かして課せられた仕事を遂行できる人材は貴重です。たいていは、自分だけで精一杯だったり、一人で仕事をしたい人だからです。
 会社はある程度仕事を覚えた人の中から、人を動かせるリーダークラスを任せられる素養のある人に目をつけます。ポイントとしているのは、「指示待ちではなく、自分から動いているか」や、「自分のことだけでなく、わずかでも周囲のことに気遣ったり、気配りできているか」などです。これらがリーダークラス候補の先行指標です。
 そう考えると、実務職クラスや新卒入社5年目くらいまでのクラスの考課表の項目には、そのような先行指標の項目を入れておき、早めに目をつけておきたいものです。なぜなら、「実務で結果を出している」人材を評価し、処遇することも大事ですが、たとえば不器用だったりで実務は今一つだけれども、先行指標項目の評価が高い人材は、できるだけ確保しておかないとならないからです。これからはとくにそういえます。
 その意味では、人事考課に工夫が必要なのですが、人事考課だけでは限界もあるでしょう。たとえば、実務職クラスに求められることの一番は、「日常業務の確実遂行」だとしたら、やはり「実務で結果を出している」人を高く評価しないとなりませんし、人事考課制度はそうあるべきです。したがって、このようなジレンマを解決するには人事考課だけでなく、抜擢や報奨なども活用する必要が出てくるわけです。しかも、トップの「思いつき」などではなく、オフィシャルな位置づけにしたいものです。なぜなら、そうでないと、残って欲しい人材が逆に辞めてしまったりすることになりかねないからです。すなわち、人事考課、昇給賞与、昇格、抜擢、報奨、教育・・・などの制度をそれぞれの機能に応じて、うまく構成することが必要というわけです。
 賃金や考課制度だけでなく、人の課題を解決し、人をより活かすために人事のツールを活用することこそが人事制度のはじまりといえます。

枚方に住む息子が駅に貼られたポスターの写真を送ってきました。左は間もなく公開の映画「海賊と呼ばれた男」のポスPhotoターですが、右はそれをパロディにした、主演の岡田准一が、実家が枚方なことから広報する「ひらかたパーク」のポスターです。いかにも大阪らしい企画です。評論家の平岡正明が河内音頭を例に挙げ、大阪の文化を「へりくだりの美学」といいましたが、まさにこれですね。

 

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