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2016年12月18日 (日)

二百九十四話 非正規の賞与

 16日の日経に「非正規にも賞与」という見出しが一面に載っていました。働き方会議への政府のガイドライン案です。経営者にとっては、「またか」であり、合点のいかない、看過できない記事だったことでしょう。
 11月に独立行政法人経済産業研究所が正社員と非正規社員(有期雇用者)の賃金格差の調査分析結果を報告しています。それによると、単純平均の男女計で非正規は36.5%低く、従来からいわれているような結果です。けれども、学歴、年齢、勤続年数、職種などの属性を加味して整理すると、時間当たりの賃金で差は8.8%になり、しかも女性間のみで見ると差はほとんどないとしています。これは、欧州の同様の分析と較べても、同程度かそれ以下になるということです。
 このことは、政府が掲げている同一労働同一賃金の議論の前提が崩れてしまうことになります。そこで、冒頭の政府が示したガイドライン案を勘ぐりたくなります。つまり、今度は賞与をターゲットにしようという意図が見えてきます。非正規にも貢献度に応じた賞与をというわけですが、実態を考えれば、そのようなことができるわけがありません。そもそも、配偶者控除の改革も中途半端なままで、月例給与にプラスして賞与を払えば、年末の忙しい時などに余計に時間調整してしまうでしょう。それでなくとも人不足なのですから、実態を知らない、とんでもない話となります。賞与のあり方などはそれぞれの会社に任せないと絶対になりません。
 厄介な問題は棚上げし、文句が出にくいような、やりやすいところからしようという、政治家と官僚の姿勢が気にいりません。このままだと、この春闘は政府の思惑通りいかないに違いありません。
 

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