二百九十六話 今年の人事の動き
新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今年は米国のトランプ政権誕生で世界経済がどうなるのかが、まずは経営者の一番の関心事でしょう。円安ドル高、株高がこのまま続くのか、政策が見えてくるにつけトーンダウンしてしまうのか、日本が春闘で湧く頃にはかなり方向が定まっていることでしょう。
中小企業にとっては、景気がこのまま上昇すれば人不足、下降すれば業績に影響し、どちらに振れても悩ましいといえます。会社の採用難は人事に直接関わる問題ですから、わたしどもとしても対策をなんとか提案したいところです。基本は、大手とバッティングしない戦略をとることでしょうが、いずれにせよ手を尽くさずに採用できる時代ではなくなりました。担当者任せとはいかず、経営者も真剣に取り組まざるを得なくなったといえます。
今年、中小企業が人事で対応しなければならないことは、二つと思います。一つは上述の人不足の問題。採用と定着が喫急の課題で注力が必要です。もう一つはマネジメント力の底上げです。人を動かせる人を増やさないとなりません。もっと具体的にいえば、面談できる人の養成です。
日本社会はこれから雇用のあり方が変わります。政府が進めるだけでなく、そうしないと経済がもたないからです。どう変わるかは、すでに示されているように女性や高齢者、外国人などの活用であり、在宅や短時間などの多様な働き方が進むことになるのですが、違う角度からいえば、総合職正社員と職務限定社員の二極化が明確になっていくことです。
われわれの頭にある社員像は総合職正社員のそれであり、雇用のあり方の基本をそこに置いています。これから進むのは、正規であれ非正規であれ、職務が限定され明確になった社員が圧倒的に増える社会の到来です。はっきりとは見えないけれども毎年確実に進んでいくことでしょう。「わが社はこれまで通り総合職正社員のみ」とうたっても、社会がそうさせてくれません。会社は職務限定社員を使わざるを得なくなるのです。
そのような職務限定社員を活用するには、どのような仕事に就き、何を求めるかを明確に示さなければならなくなります。中小企業では役職者といっても、そのようなことは苦手な人がほとんどです。今年くらいから取り組んでおくべきと思います。
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