三百二十五話 人手不足倒産
帝国データバンクによると、採用難と離職による倒産が急増しているとのことです。倒産件数全体に占める割合はまだわずかですが、今年上半期で49件、前年同期比44%増、負債総額218億99百万です。4年前と比べると、件数で3倍弱となります。増えているのはわかっていましたが、明確に数字を見せられると、人不足の厳しい現実をあらためて実感します。
とくに負債規模では11億円未満が19件、5億円未満が23件と小規模企業が大半を占めるものの、10 億円以上も5 件発生し、負債規模は拡大しつつあるとみられます。
業種では、サービス業が15件、建設業が13件、小売り業7件、運輸通信業が7件とやはり人不足がはっきりしている業種が上位です。建設やソフトウェア開発のように仕事は受けたものの人が集まらず、履行できずにキャンセルせざる得なかったり、逆にペナルティを払うことになったり、あるいはサービス業上位の介護関係のように部屋は空いているものの職員が集まらず、入居させられなかったりという状況のようです。
低賃金、過重労働、スキルアップの望めない仕事等が今、ダメージを受けているといえます。人不足から、いずれは雇用の流動化が本格化することでしょう。雇用の流動化は「人の集まる会社に人材がより集まる」ことを加速させます。様々な業種で「働かせ方」の見直しを迫られています。
ビルの合間を練り歩く、祇園祭山鉾巡業の光景はいつ見ても異様です。室町の頃にはかなり大きかったというので
、低い建物が多かった昔は30基もの山鉾が街に並ぶ姿はさらに壮観だったことが想像できます。疫病などの厄払いから始まった祇園祭ですが、まさしく人々の気持ちに与えるインパクトは多大なものだったことでしょう。しかも街中の人が同じ心情を共有できたわけです。同様に、会社の中の山鉾を見つければ、様々な問題は解決できることでしょう。
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