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2017年8月

2017年8月28日 (月)

三百二十九話 日本型サービスモデル

 消費者の好み、ニーズに応じたきめ細か、均質で高い質のサービスの提供、その割には対価としての料金は低い。したがって他の先進国より労働生産性が低いといわれる日本型サービスモデルは、人手不足、非正規賃金の上昇、労働時間規制を契機に曲がり角に来ているといわれています。ヤマト運輸の値上げ、配達時間帯等の限定など宅配、配送業界が話題ですが、それらの業界に限らず、サービス業全体に拡がりつつあります。
 確かに、消費者も求めてないような過剰サービスも多かったのは事実で、それらを見直すのは異論のないところでしょう。問題は「きめ細かで質の高いサービスを外国と同様にしてしまうと、日本的な良さがなくなってしまうのでは」という懸念です。そして、「そこを残すならば、対価としての料金をもっと貰わなければ」という話になります。
 日本の旅館は地方へ行くと、安い料金のところでも仲居さんが布団を敷いてくれて、部屋へ食事を持ってくるなど、明らかにこれぞ日本のホスピタリティというところがまだまだあります。でも、もうなり手もなく、賃金も上がり、同じサースビスはもう続けていけなくなるでしょう。
 欧州へ行くと、料金とサービスはそれなりになっているのを感じます。カフェでも立ち飲み、店内のテーブル、外のテーブルで料金に差があったりします。それぞれがそれはそれで納得し、愉しんでいるように見えます。
 なんでもかんでも一定水準以上の質を求めるのはもう限界に来ています。どうも、日本が思い切って捨てなければならないのは「均質」なような気がします。それは社会が大人になることでもあると思うのですが。
 

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2017年8月19日 (土)

三百二十八話 話題のトヨタの求人広告

  「あぶい%#ヒtがとびだてkた;! 不完全な情報を読みとり、判断する技術のスペシャリストをさがしています」「え!?、あの電気機器メーカーにお勤めなんですか!それならぜひ弊社にきませんか。」など、先月JR南武線沿線に貼られたトヨタの中途採用求人広告が話題になりました。あきらかに、沿線大手電機メーカーの技術者を引き抜かんとする挑発的なコピーです。あのトヨタといえども人材が不足しているのでしょう。とくに、自動運転等に関わる、即戦力のIT技術者は何人でも欲しいようです。
 この話題が中小企業に及ぼす影響は、中途採用市場がどのくらい拡大するかどうかです。つまり、いずれは起こる雇用の流動化がいつ起こるのか、急速に起こるのかです。
 リクルートワークス研究所の調査では、昨年の中途採用市場はそれほど拡がっていません。1社あたりの採用人数で見ると前年比+2.8%程度です。但し、思うように「確保できなかった」企業も44.3%と高く、4.0%増えています。これは中途採用者を必要としているにも拘らず、充分に採れておらず、潜在的に中途採用市場は大きく拡大する可能性があるといえます。業種別には建設業の{確保できず」59.7%を筆頭に、医療・介護53.1%、運輸52.2%、情報通信50.2%と続きます。いずれもいわゆる「人不足の業界」です。
 問題は今年度から来年度にかけてでしょう。ホンダが中途採用枠を倍にするなど、今年の大手の動向は去年とかなり違うように見えます。それを象徴するのが冒頭のトヨタの広告と思われます。中小企業は採用のみならず、定着も身構えなければならなくなりました。

知らぬ間に都会の景色はどんどん変わります。工事技術の向上で一晩したら、写真緒歩道橋がかかっています。JRPhoto_7大阪駅前のヨドカメとの連絡橋ですが、これでまた便利になります。都市計画のような長い工事は一気に完成させるよりもサクラダファミリアの様に段階的部分的に使いながら作り上げるのが景気には良さそうです。梅田の北ヤード跡はまだまだ変貌するでしょう。景気を引っ張って欲しいものです。それにしても、こうやって写真にするととても大阪の風景とは思われません。

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2017年8月 6日 (日)

三百二十七話 新入社員意識調査

 日本生産性本部が毎年行っています、新卒新入社員のアンケートによる意識調査(2000人弱)で今年度分を見ると、幾つかの特徴が見られます。その多くはやはり売り手市場の傾向が顕著といえるでしょう。
 「条件の良い会社があれば、さっさと移る方が良い」の問いでは、36.2%あり昨年より8.2ポイントも上がっています。しかも、企業規模300人未満だと40.5%となっています。中小企業は採用はもちろん、定着にも留意が必要です。また、「一つの会社に最低でもどのくらい勤めるべきと思うか」では、1年2.0%、2~3年32.7%、4~5年21.3%となっていて、5年までで56%とです。これも300人未満だと57.3%ですから、新人の約6割はそのくらいの気持ちで入社してくると思っておくべきでしょう。
 「インターンシップ制度を利用したか」では、53.4%が利用しており、昨年より9.4ポイントの急速な増加が見てとれます。そのうち「インターンシップ先の会社に入りたいと思った」が58.1%もあります。中小企業の多くはまだインターンシップ制度を避けがちですが、いよいよ導入を考えるべき時期といえそうです。中小企業なりのやり方はいろいろあると思います。
 この意識調査は入社時点(3~4月)ですから、まだ「仕事」や「会社」というものをほとんど知らない時期で、少し経てば変わる可能性はあるでしょう、でも、少なくとも入社するにあたってはこのような意識であることを理解しておくことが必要と思われます。

地元の神戸港周辺も船の往来で賑わっています。リーマンショック後の閑散とした風景からすると、かなりリーマン前の状態に戻っているといえます。このような荷動きから見れば景気はけっして悪くはありません。
 自宅の窓からも、向かいのマEt2017_2ンション群の後ろを巨大な船が通る姿を時折見ることができます。大丈夫かと思うくらい色とりどりのコンテナを山積みしています。通関に携わる会社の方に聞くと、コンピューターの発達で巨大コンテナ船の建造が可能になったということです。コンテナを船に積み込むのには順番が重要で、寄港地の順序と重量の配分を考えて積まなければ、荷卸し時にとんでもなく時間が掛かることになるのと重量の偏りで船が沈みかねません。それをコンピューターが瞬時に計算し、連動したクレーン(操縦するのは人ですが)がテキパキとコンテナを船に積み込んで行くわけです。世の中、知らないところで変わってきています。

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