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2019年4月

2019年4月22日 (月)

四百十話 大卒求人倍率

 2019年卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークスの調査を見ると1.88倍で昨年より0.10ポイントの上昇です。厚労省調査の同就職率のデータでも98.0%と昨年比0.4ポイント増の過去最高で、まさに売り手市場真っ只中と言える状況です。
 けれども、この数字は平均値であって、もう少し細かく見ると現実はさらに凄まじいと言えそうです。規模別求人倍率では300人未満で9.91倍と昨年の6.45倍から3.46ポイントも上昇しています。それが、5000人以上の大企業では0.37倍と昨年より-0.02ポイントの低下です。つまり、売り手市場、人不足の超採用難は中小企業で、大企業は買い手市場といえます(300~999人規模で1.43倍、1000~4999人で1.04倍)。実はこの10年で見ても大企業はずっと買い手市場で、中小企業はずっと売り手市場、採用難なのです。ということは、規模でくくられてしまうと中小企業に勝ち目はないということでしょう。中小企業は違う切り口でウリ文句を考え、大手と違うアプローチをしないと、欲しい人材は永遠に来ないかもしれません。

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2019年4月15日 (月)

四百九話 労働者か自営業者か

 コンビニの店主らが本部に団体交渉を求め、会社側が認めなかったため、救済を中央労働委員会(厚労省の外局)に求めていましたが、中労委はコンビニ・オーナーは独立した事業者であって労働者ではないとし、棄却しました。
 これは、雇用関係にあたらないという事例ですが、タクシーのシェアリング・ビジネスで業績を拡張させたウーバーテクノロジーズが、各国で雇用問題の訴訟にあっています。ウーバーの運転手が自営業者か、雇用されている労働者かという問題ですが、英国では雇用という判決が下され、ウーバー側が控訴しています。カリフォルニアでも、競合のリフトという会社と共に労働者性を問われ、会社が負けています。これにより、ウーバー等のビジネスモデルは根幹から考え直さざるを得なくなるでしょう。すでに、22億円の和解金の支払いや上場を危ぶまれる事態になっています。
 それにしても、労働者か自営業者かの問題は難しい問いで解決されたわけではありません。大阪でも緑のバッグを背負って自転車に乗る、ウーバーイーツの運び屋さんを見掛けるようになりましたが、これも雇用となれば、このビジネスは成立しなくなるでしょう。新しい労働形態の出現にこれまでの枠組みは合っていないともいえます。いずれ、派遣労働者のように新しい法制の枠組みが出てくることでしょう。

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2019年4月 7日 (日)

四百八話 ユニクロの初任給アップ

 ユニクロのファーストリテイリングが2020年度の初任給を4万5千円上げ、25万5千円にします。20%アップという、とんでもない額ですが、25万5千円は大手商社に並ぶ額で、ライバルとしているZARAが現行のユニクロと同じ21万ですから、ぐっと引き離すことができます。また、これはグローバルリーダーをめざす職種の新卒初任給で、地域限定の正社員は別です。つまり、人材は枯渇していて、とくにグローバルを目指す有能な大卒を採るには、大手商社並みにしないと採れないということなのでしょうし、大手商社パーソン並みの働きを期待しているといえます。
 それにしても、20年の新卒初任給を上げれば、当然、今年度採用までの同職種の給与を調整しないとなりませんから、人件費の上昇は半端ではないはずです。それくらい、この会社は「会社は『人』次第」と考えているのでしょう。
 これから、給与は一律から仕事別になっていきます。正社員も非正規社員も仕事以外では差が縮まり、仕事を軸に差がつくようになっていきます。中小企業もそのような流れを頭に入れておかないとなりません。また、仕事と賃金を軸とした制度化を考えないと、対処できなくなるでしょう。

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