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2019年7月

2019年7月29日 (月)

四百二十三話 新入社員調査その①

 今年の産能大の新入社員アンケート調査(入社1ヶ月まで程度)で、興味あるデータが二つあります。一つは、「働きはじめるに当たって不安に思っていること」の質問に、「上司・先輩と上手くやっていけるか」が67.6%、「自分の能力で仕事をやっていけるか」が62.7%で他の項目に対して突出して高いことです。これはこれまでと同様の結果ですが、入社当初は6割以上の人が、職場への不安、仕事への不安を抱いていることになります。アンケートの対象は、大卒新卒で大手・中堅の社員が中心と思われますが、中小企業に入社の新卒も同様にあるいはそれ以上に不安を抱いて会社に来ているといえそうです。それを踏まえると、職場に馴染むまでの間は、それなりの対応が必要に思われます。この期間は本来の力が出ていないでしょうから、「タイプを決めつけない」、「話をする機会を積極的の設ける」などの配慮が原則、必要といえそうです。この「職場に馴染むまでの間」がどのくらいかは、人によって、仕事の環境によって違ってくるでしょうが、経験上ざっくり3カ月と見てはどうでしょう。すると、入社3ヶ月までが一つ目のステージ、それからが二つ目のステージという指導の基本計画が考えられることになります。もはや、虎の子の新卒ですから、面倒ですが中小企業も計画的指導育成を1年間くらいは実施したいものです。

🎤 Photo_20190731095501 絵は 六甲山に上がるケーブルカーのうちの摩耶ケーブルで、昇降の電車がすれ違うところです。湿度の低い日なら、摩耶から上がって行くと、下界の暑さを忘れられる爽快感を体感できます。急勾配の六甲ならではです。

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2019年7月23日 (火)

四百二十二話 新卒離職率

 大学新卒の3年目までの離職率は3人に一人と、よく言われます。人不足の売り手市場なのですが、この数字は今のところそれほど変わっていません。新卒の離職率は学歴別、企業規模別で大きく異なりますが、その傾向はほとんど変わっていないのです。先ごろ、厚労省から発表された資料でも、ざっくり言うと、学歴別規模計は大卒で3割、短大卒で4割、高卒で4割、規模別では大卒を見ると、1000人以上で2.5割、100~499人で3割、30~99人で4割、5~29人で5割、5人未満で6割です。規模別の高卒だと、1000人以上で2.5割と大卒と変わらないのですが、あとは大卒より0.5割ずつ上がり、100~499人で3.5割、30~99人で4.5割、5~29人で5.5割、5人未満で6.5割となります。もちろん、この数字は平均ですので、同規模でも離職率の高い企業、低い企業と幅はあります。でも、平均が何年も変わっていませんから、このような傾向があると読み取れます。社員の定着には、学歴と会社規模とが大きな要素であることは間違いないでしょう。したがって、自社の定着率を高めるには、まず同規模の学歴別数値と比較すべきとえ、仮に離職率が平均値より高ければ、改善策を早急に考えるべきといえるでしょう。

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2019年7月15日 (月)

四百二十一話 ギグワーカー

 政府は副業ができる環境を進めようとしています。ネックとなっている労働時間の通算などについて検討が始まっています。現在の労基法では、1日8時間超えの労働に対して時間外割増が発生し、仮に1日の前半6時間をA社で後半4時間をB社で働いたとすると、2時間の時間外割増が必要となり、それはB社で支払うことになります。B社は「本人がどこでどれだけ働いているかなど知らなかった」といっても、割増を支払わなければ法的には違反となります。
 この労働時間の通算をやめようということですが、もし改正になれば、企業と働き手をつなぐ、マッチングサイトがさらに活況を呈することでしょう。たとえば、企業が2時間だけ人手が欲しいと登録すれば、自分のちょっとした空き時間で仕事をしたい人がスマフォで返答するようなサイトです。すでにありますし、最近よく見掛けるようになったウーバーイーツなども同様のしくみです。これらの類がさらに増えることでしょう。それは飲食店のスタッフなどから、自宅での作業の請負に至るまで、チョイ働きをやりやすくします。それが副業であれ、チョイ働きをつないでそれだけでフルに働く人であれ、このような働き手をギグワーカーといいます。いわば空き時間でチョイ稼ぎをする人です。そうなると、自社の仕事のあり方を見直し、このギグワーカーを積極的に活用しようとする企業も出てくるに違いありません。

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2019年7月 8日 (月)

四百二十話 中小企業の夏季賞与

 大阪シティ信用金庫調査の大阪府下中小企業の夏季賞与レポートを見ると、景気動向の一端を見ることができます。このデータは、データのおよそ8割が20名未満の企業という特徴があり、賞与を支給する企業の割合で景気の実態を判断することができます。その点で、この夏季に特筆すべきことは、支給企業は前年同期比で全体には0.2ポイント上がっていますが、小売業だけが17.3ポイントの大きなマイナスになっていることです。他業種では大きな落ち込みはありません(製造業△0.2、卸売業4.9、建設業0.2、運輸業3.2、サービス業4.9)。
 では、消費がそれほど悪いのかと言えば、経産省や帝國データの統計を見ると、他業種はマイナスにもかかわらず、逆に小売業全体ではわずかに伸ばしています。つまり、インバウンド効果やネット通販の伸び等で大手小売は悪くないものの、中小小売はその恩恵にあずかっていない。というより消費を持ってかれているような状況が推測できます。また、すでに人不足が業績の足を引っ張る悪い循環に陥っている懸念も浮かびます。賞与が落ち込むとさらに人不足が加速するかもしれません。
 中小小売の大きな落ち込みは今年の景気に蓋をするような予感がします。今後の動向に注視です。
 

🎤 日本でライトの建築を実際に見れるところは非常に限られています。その数少ない場所が芦屋にあるヨドコウの迎賓館で、小高い丘の清閑な住宅街に あります。ここに入ると 、「 空間」というものが単に物理的に区切られたスペースではなく、それは視覚であり、アンジュレーションなどの体感であることがよくわかります。ここでは、小さなあつらえづくりの蝶番の細工が部屋の空間を構成する要素になっていることを理解することができます。体感できる不思議な居心地の良さがライトの設計の確かさを伝えてくれています。これだけは実際に体験しないと言葉では表せません。管理も大変でしょうが、ずっと残して欲しいものです。

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2019年7月 1日 (月)

四百十九話 職務価値評価

 ざっくりいえば、日本は職能給社会ですが、日本以外の国は職務給社会です。職務給は仕事によって給与に差がある賃金体系を言います。給与の差は職務価値の差です。職務給社会とは、そういう前提で賃金が決まることを社会が認知しているわけです。日本でも派遣社員などは職務給型ですが、どちらかといえば人材の需給バランスで賃金に差があるといえます。需給バランスも職務価値の一つですが、まだ仕事自体の価値評価に社会が踏み込んでいません。よって、職務給体系を採用している企業も社会は職能給ですから、今ひとつしっくり来ていないのが本当のところでしょう。われわれは長い間、「仕事に貴賤はない」と教わってきたわけですから、そう簡単には変わらないわけです。  けれども雇用の流動化は職務給社会を徐々に進めることでしょう。正社員についても、おそらく、はじめは初任給と60歳以降の賃金から職務価値評価による決定がなされていくでしょう。ただし、本格的な職務給社会はひと世代が入れ替わらないと到来しないと思われます。

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