四百十二話 採用と定着~その1
昨年の新卒者の入社後の大規模な追跡調査を全国求人情報協会というところが行っています。その集計結果を見ると、採用と定着について非常に重要な示唆が読み取れます。
一つ目の示唆は「入社時に転職意向であった人は、入社後に就業意向に変わることはない」というものです。これだと、転職意向の人を採用してしまうと全員ではないにしても、大方は「仕事を教えても仕方ない」ことになります。その点では、採用時に見極めて選ぶことが大切になります。それがなかなか難しいわけですが、逆に言えば、他の要件はさておいても、「転職意向の見極めだけしておけば、なんとかなる」ということかも知れません。その方法のヒントが、次の二つ目の示唆に見て取れます。
二つ目は、「入社時に就業意向であった人は、就職活動を通じて、自己理解や企業理解に力を入れていた」というものです。つまり、就業意向の人は「自分はどのような仕事に就いてみたいのか、どのような仕事に向いているのか」や「この会社は自分のやりたい仕事ができる会社か、どのような特徴があって、何が得意なのか」などを探り、理解しようと努力しているわけです。ということは、実際に「仕事が向いているかどうか」より、「そのような姿勢のある人を採用すべき」ということになります。したがって、面接時にそのたぐいの質問をすることや話を引き出すことが有効になりそうです。一度の面接では難しいにしても、二度、三度機会を作れば、かなり選別できる可能性はあるでしょう。
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