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2020年11月

2020年11月22日 (日)

四百五十三話 中小企業の人事のコツ②

 「人事」は、採用、配置、処遇、教育、評価など、社員が仕事をしていくうえでのベースとなる部分を支えます。それらをルール化したものが「人事制度」ですが、会社が継続するなかで、「制度」を使って人事を動かす必要性が生じるときが何度かあります。
 最もわかりやすい例が、人数が増えたときです。社長一人で全体を見れなくなり、誰かにその役を任せざるを得なくなったときです。通常はそのときに、社長の役目を代行する「管理職」が必要となります。この「管理職」が単なる社長の代弁者でしかないと、下の社員は結局、社長しか見ないことになり、それまでの社長が一人で行っていた「管理」と変わらないことになります。つまり、会社は「管理職」をつくると同時に、判断する権限と責任および「判断するものさし」を渡さないとなりません。
 また、「管理職」にはそれらを使いこなすスキルが求められます。多くの中小企業においては、そこがある程度の人数になったときのハードルとなるでしょう。「管理職」は必要だけれども、「管理職」が育っていないジレンマです。それを解決する一つの方法が「人事制度」の活用です。経験上から言えば、なかでも「評価制度」の活用が最も有効といえるでしょう。ただし、「評価制度」は「管理職のツール」という位置づけをすることが重要な鍵となります。

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2020年11月 3日 (火)

四百五十二話 中小企業の人事のコツ①

 30年余りにわたり、中小企業の人事に独自の視点から関わってきたお陰で、中小企業にとって人事とはなにか、どこを押さえておくべきかなど、見えて来たものが随分とあります。その幾つかを数回にわけて紹介しておきたいと思います。
 中小企業の人事は、大手企業のそれと事情が全く異なると思われます。その一つが、「制度」というものへのアプローチの仕方です。大手企業は、「制度」ありきで、経営方針の浸透や問題解決などのために、フィットする「制度」をいかに構築するかが「人事の課題」の中心となります。つまり、人事は「人事制度」からスタートします(多くの人事に関する書籍もその前提で書かれています)。実際に人事制度を構築すれば、概ねそのように動くわけです。
 けれども、多くの中小企業においては、人事制度をつくっても、つくったようには動きません。中小企業の人事は「人事制度で動かない」、その前提で考えないとなりません。トップから末端の社員に至るまで、なにかを決めたり、行うときに、制度を決めてから実行するという考えと習慣がないのです。また、その度合いが会社によって異なるのです。ただし、それはデメリットばかりではありません。臨機応変に対応できる点は大きなメリットといえます。けれども、人事制度を活用する点では明らかにデメリットとなります。
 よって、中小企業が人事制度を整え、社員を動かそうとするとき、「制度ありき」に慣れさせないとなりません。つまり、中小企業の人事制度の整備は、「人事制度の活用」という本来の目的の推進と「制度に慣れること」を同時に進めることになります。したがって、人事制度の整備にどこから手をつけても構いませんが、どこから運用するかはよく考える必要があります。

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