四百九十二話 働き方の多様化
働き方の多様化が言われて久しいですが、社員の個別の事情に合わせて、企業の雇用のあり方も対応せざるを得なくなりつつあります。
中小企業においても、正社員がフルタイムで働けなくなった場合に従来なら、ほぼ退職するしかなかったのですが、現在はその穴埋めの人材の確保が非常に厳しくなっていて、会社としてはなんとか繋いでおく方法を模索しているのが本当のところです。
個別の事情で多いのは、出産・育児ですが、こちらは育児休業や短時間勤務も法的に定められていて、給付金等も充実していますし、社員自身も企業の対応の仕方も慣れてきました。これとは別に、最近増えているのが親の介護です。こちらは急であったり、法制も浸透していなく、また充分とはいえない面もあって、とつぜん退職を言い出したりする例が増えています。
社員の個別の事情でフルタイム働けないことへの対応方法の一つが、「短時間正社員制度」ですが、これはそういう社員が現れないと中々整備を考えません。けれども、現れてから導入するのは難しい場合が多いといえます。その理由は、他の社員からすると「あの人だけ特別扱い。忙しい時にさっさと帰ってしまう」というもので、実際にはそういう声が無くとも、本人はそう感じてしまい、いづらくなって結局退職することになってしまったりします。
これを回避するには、平時に導入し、「社員全員が育児や介護などで対象になる可能性があり、そのときにはこの制度を活用して欲しい」旨をアナウンスしておくことです。そうすることで「特別扱い」を緩和できます。また、「はじめから個別の事情を持つ」新人を採用することができるようになり、採用の間口をぐっと拡げることにつながる筈です。
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