四百九十五話 転職求人倍率
ほとんどの関与先で採用が非常に厳しい状況です。
求人情報doda調査の転職求人倍率(6月まで分)のグラフを見ると、企業等の求人数は極端な右肩上がり(2020年コロナ後のおよそ2.5倍に増加)していますが、転職者数は横這いもしくはやや上がっている程度です。そのために(転職者数に対して求人数が極端に多いために)転職求人倍率は5月で2.20倍、6月で2.26倍と2019年以降で最高になっています。
この転職求人倍率の高さは、コロナ影響前の求人ピークで1.4倍程度ですから、「コロナ禍終焉で外食、小売、流通が採用を戻しを始めたから」というのは当て嵌まりません。それは求人の中身を見てもわかります。6月でレジャー・外食が0.69、小売・流通が0.49ですから、要因が違うところにあるのがわかります。
TVのCM等を見ていると転職がさぞかし増えていると思いきや、この数字から見ると転職者数は実はそれほどでもなく、煽られているのはむしろ採用する側の企業の方ではと思ってしまいます。
業種別で転職求人倍率を見ると、IT・通信が6.41と非常に高いのですが、何のことはない人材サービスも6.93と同様に高いのを見ると、やはり「つくられた転職」を疑ってしまいます。
それでも、業種別でメーカーが2.63と高く、製造業の人不足はホンモノのようですし、職種別ではエンジニアのIT・通信10.07、機械・電気4.31は想定通り突出しています。また、業種別の営業も2.46と高いのも関与先の状況と一致します。
「つくられた転職」もあるにせよ、大手が中途採用比率を高め始めていることが、中小企業の採用が厳しい大きな要因であることは間違いないでしょう。政府は転職時のリスキリングに給付金を出す準備を進めるなど、引き続き流動化政策を進めています。求人倍率もさることながら、転職者数の動きに要注意です。
✒ 暑中お見舞い申し上げます。
長崎の赤い路面電車は夏の青空に良く映えます。クルマにとっては走りにくい石畳と線路もいまや貴重な風情ですし、街中を電気で走り、観光地を巡れる乗り物は時代を先取りしています。時代の転換点なのか、ただ一巡しただけなのか、答えはも少し先になりそうです。
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