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2023年10月

2023年10月31日 (火)

四百九十九話 現場のリーダーの役目とリーダーシップ

 弊著「はじめてリーダーになったら必ず読む本」は、現場のまとめ役を担ったら、その心得と「何をすべきか」とを解説した本で、小さなチームをつくる観点からチーム・リーダーの役割全体をわかりやすく網羅しています。Photo_20231031140001
経営者はチーム・リーダーにリーダーシップを期待しますが、リーダー・シップはそれほど重要な要件ではありません。中小企業で現場のまとめ役としてのチーム・リーダーにリーダーシップを求めたら、成り手はほとんどいなくなってしまうでしょう。そもそもチーム・リーダーの役目とリーダー・シップは直接には関係ありません。
 リーダーシップを求めるよりも、会社は「何を期待しているか」、「何を求めているか」を伝えることの方がよほど大事といえます。リーダーの本はそのことをサポートするために書いた本です。
 「指示・采配をテキパキと行い、次々起こる問題に対して間髪入れずに判断して行く」ことが苦手でも、腕っぷし自慢の漁船の漁師をまとめ、漁獲高を日本一に何度もする船長(漁労長)がいることが、リーダー・シップだけがリーダーに必要な資質ではないことを物語っています。
 慢性的に人材不足の中小企業は、誰でもとは言えなくとも多くの人が「身につけられること」を積み上げていくしかないように思います。

✒自宅の近所にお住いの500名ほどの会社の社長さんが新刊を2冊購入してくださいました。「現場のリーダーが全体を知るにはとても良い本」とお褒めと研修で使いたいとの言葉を頂きました。一冊は電子書籍版で間違って購入されたようですが、持ち運びがよくて電車や飛行機の移動中に読めて気に入っているとのことでした。有難いですね。


 


 

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2023年10月13日 (金)

四百九十八話 中小企業のリテンション

 これまでも中小企業は人材不足に頭を痛めてきましたが、これからはさらにもっと悩ましい状態になりそうです。
 人口減に加えて大手が採用を活発化させ、しかも中途採用の比重も高めていることから、採用もさることながら、人材の定着・維持にもこれまで以上にパワーをかけなくてはならなくなりました。
 どこまで真実を伝えているかは疑問ですが、多くの調査データは離職の要因の上位に賃金水準をあげています。確かに中小企業において、仕事にある程度習熟した人材やベテランの域に入る人材の離職の理由に賃金は大きいかと思います。けれども、賃金水準では多くの中小企業は大手に太刀打ちできません。したがって、人材の定着・維持に賃金水準だけで勝負するには無理があるでしょう。
 では、中小企業の人材の定着・維持において賃金水準以外でなにが有効かを考えた場合、候補は大きく二つに絞られます。一つは「本人の個別の事情の考慮」、もう一つは「仕事の面白さ」です。「本人の個別の事情の考慮」とは要は働き方に融通を利かせてくれるかどうかです。杓子定規に「きまりだから」「特別扱いはだめ」などとしてしまうと大手と同じになってしまいます。できるだけ不公平感を出ないようにしつつ、融通を利かせられるしくみが求められます。「仕事の面白さ」では、これからの鍵は「裁量」と「協同」です。これは最近のスポーツを見ればわかるように「自分で考えてやれる」と同時に「仲間と共有できる」ことです。指導・教育を含めたマネジメントはこのことを理解し、変わる必要があるでしょう。
 経営者とともに管理職もそろそろ頭を切り替える必要がありそうです。

Photo_20231013131401蔭さまで、再び増刷となりました。ドカンとはいかないようですが、コツコツと売れているようです。 左頁は図表で、右頁に本文が書かれていますが、本文は簡潔ですぐに読み切れる内容にしています。もっともわかりやすい、現場のリーダーの手引書としてじわりと拡がってくれたら嬉しいですね。

 


 

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