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2024年5月 2日 (木)

五百四話 上がらない賃金の終焉

 今年は昇給の相談が多く、昇給時期が遅めのところが多い中小企業にあっては、関与先でもまだ検討が続いています。
 大手企業は5%以上とかニュースにも流れたりしていますが、今年は原材料の値上がりをなかなか転嫁できない等もあって2極化が激しく、中小企業では3%以上あれば、高い方の会社となるでしょう。
 中小企業でも新卒採用が中心のところは大変です。23年度卒で前年比2%程度だったアップだった初任給は、24年度卒では3.8%程度上がりそうです。この初任給アップはベアと同じ意味を持ちます。ベア3.8%に定昇が加われば、大手の5%以上というのも、とんでもない数字ではないということになります(ただ、初任給をそこまで上げたのも大手と言うことになりますが)。
 中小でも新卒を採るのであれば、これについて行かざるを得ません。そうすると新卒に近い者は同様に上げて行かざるを得ず、ベアがかかります。ベアの平均を下げようとすると、もともと賃金水準の高い層を抑えることになります。そうすると賃金カーブは寝ることとなり、不満のもととなったり、昇進したくない者が増えたりします。
 これを避けるには、企業は二つの選択肢をせまられることになるでしょう。一つは定昇を維持するがよりメリハリをつけ、できる人により高い賃上げをする。もう一つはJOB型給与に移行し、定昇を抑え、仕事が変わらなければ給与は上がらない体系に変える。
 社会全体がJOB型あるいは日本式JOB型に移行しない限り、中小企業の選択肢は「一つ目」しかないように思います。「一つ目」を選択すると、「定昇」「昇格昇給」「評価制度」の三つのバランスが重要になるでしょう。
 いずれにせよ、中小企業の賃金のファンダメンタルズは変わり、「上がらない賃金の時代」の終わりのはじまりとなりました。

 

 

 

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