第五百五話 中小企業の賃上げ②
各統計機関の中小企業の賃上げが概ねで揃いました。東京都、商工会議所、大同生命、帝国データ、フォーバルGDXリサーチ研など、いずれも3%台と言って良いでしょう。大手企業の春闘の数字は5%台で、かなりの開きはありますが、原材料、仕入価格をまだ充分に転嫁できていない中小企業が多い中では、よく頑張っている数字のように思います。言い換えれば、採用難、既存社員の確保、モチベーションアップの観点から上げざるを得ない状況とも言えます。
日経に掲載(5/22)の二人の大学教授による2023年度分の調査では、厚生年金のデータで見ると、大手企業の数字も全体では中小企業の賃上げよりも劣っているとのことです。全体というのは春闘の数字は組合平均であり、非組合員を含める全体を見るとかなり下がるというわけです。
数字が下がる主な要因としては、①女性比率が高くなっているが、女性の賃上げ率が低い、②高齢者比率が上がっているが、賃上げ率がかなり低いことをあげています。わたしは加えて、非組合員の管理職が入っておらず、もともと賃金水準の高い管理職の賃上げが抑えられていることが大きいと思っています。
いずれにしても、大手の春闘の数字を追いかけることはないといえそうです。それよりも、人が採れる賃金、生産性や付加価値アップの伴う賃上げに注力すべきでしょう。
✒ 先日、わたしどものグループの会で大阪国際がんセンターのご協力により、谷四にある大阪重粒子線センターの見学会を実施しました。設備の点検のために稼働を止める、年に3回のタイミングしかない貴重な体験となりました。重粒子線というのは、炭素粒子を光の70%という高速にし治癒部位に 照射するもので、通常の放射線と違って、身体の深部にあるがん細胞も周囲の正常な細胞に与えるダメージを少なく、死滅させることができるとのことでした。重粒子線センターは全国に7箇所あるそうですが、都会のど真ん中にあるのは大阪だけとのことです。そのような好立地につくれたのは、円形の加速器が小型化できたからだそうですが、痛みもなく、働きながら治療に通えて、保険が効く治療なら1回10万円程度らしいですから、関西に居住していて良かったというしかないですね。
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