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2024年11月15日 (金)

五百九話 戦力の離職

 人材の流動化が言われる中でも、これまでほぼ横這いだった新卒の離職率もここへ来てじわりと上がって来ていますが、この新卒の早期離職もさることながら、最近は勤続5年、10年などのベテラン社員が不意に退職する例が増えて来ました。しかも、「辞める者は仕方ない」と簡単に諦められる人ではなく、バリバリの戦力だったりするものですから、採用がままならない中でダメージは大きいといえます。
 ベテランの退職理由はもちろん様々ですし、本当のところはよくわからない訳ですが、事例を並べて客観的に推察すると、これほど転職サイトが浸透した状況下にあるために、多くはちょっとしたきっかけがトリガーになり、踏み出してしまうように思われます。つまり、理由は上司との些細な行き違いや現場のちょっとしたトラブルなどで、全てではないにしろ、早めに手立てしていれば防げたケースが多かったであろうということです。
 これはコミュニケーションの問題に他なりません。少人数の職場や会社はコミュニケーションがとれていると思うのは間違いです。コミュニケーションの必要性は人数に関係ありません。たとえば、「現場のベテランAさんのやる気が落ちてる理由をリーダーは聞いていたが、そのままになっていた。部長や社長が知っていたら、おそらくAさんの退職はなんとかなっていた。」というようなケースはよくある話ですが、これは普段のコミュニケーションについての問題といえます。大切なのは「仕事についてのコミュニケーション」であり、「1対1のコミュニケーション」です。すなわち、「マネジメントの一つ」という認識です。
 多くの中小企業は管理監督者のマネジメントに「リーダーシップ」を期待し過ぎます。また、管理監督者は「リーダーシップ」を「引っ張って行くこと」と思いこみ過ぎです。それよりも会社は管理監督者に「仕事についてのコミュニケーション」を教えることです。
 そして「仕事についてのコミュニケーション」の鍵は二つです。一つは「話を聞くこと」、もう一つは「共通のことばを持つこと」です。


 


 

 

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